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個人の情報って

「暑いですね。ところで、隣のAさんは、お子さんご夫婦も一緒にお住まいですか」なんて、小奇麗な身なりのハンサムな青年が折り目正しい口調で道で立ち話 をしているおかみさんに聞いてごらんなさい。
「あら、Aさんはおばあちゃんが一人で暮らしておられますよ」なんて親切に教えてくれること請け合いです。
それが一人暮らしのお年寄り家庭を狙う消火器の訪問販売員とも知らずに。

このところ何かと話題の「個人の情報」。
アメリカの映画では、端末に「ジェームス ボンド」とキーワードを打ち込んで検索すると生年月日や住所はもちろんのこと、子どもの時から現在までのいろいろなエピソードの写真や経歴、体の傷のあり 場所までわかる。
何気なく見ていたこんな一シーンが急に現実味を帯びてきたのが「住民基本台帳システム」の稼動に関する一騒動である。
ただ「大丈夫」「問題ない」とだけ、怒鳴らんの勢いで力説する大臣も、この人が情報を司る大臣だと聞くとなにやらこの国の悲劇を感じる。
安心感と信頼性を国民にあたえなければならない場面にもかかわらず、仁王様のように怒ったかの顔では、情報を伝達する方法を理解しているとは到底思えな い。
そうかと思えば、この運用に反対する評論家諸氏は、ただただ不備な点のみを指摘しているだけで、国民の将来のためにどのような形で利用していくべきかと いう建設的な意見を出しているわけではない。
いたずらに国民の不安感をあおり、不信感を土台としてマスコミ受けの賛同を得ている迎合者でしかない。

この国があまりにも「個人の情報」に対して無頓着なことは、言うまでもない。
電話帳にはのせていないはずの電話番号が、学校の連絡網のプリントには載っているなんてことは十分ありえる。
学校には大切な自分の子どものいざという時のためと知らせておいた連絡先。
それなのに少なくとも学校側から子どもたちの家に配布する資料にそのような情報を公開していいかどうかの了解を求める問い合わせすらないのである。
しかし、そんな学校の教職員も、実は私たちと同じ地域に住み育った住民なのである。