第17号 地域の子は、地域で育てる。(その4) 「育みたいもの」

地域の力で育みたいもの、育てなければと思うものを率直に拾い上げてみたいと思います。

 まず今日の家族関係の中で、なかなか育みきれないものの一つとして、少々堅苦しい表現になりますが、生きる上での基本的なマナーや社会ルールの初歩的な 行為にかかわるものがあります。

 例えば、毎日顔を合わせているのに挨拶ができないことや、やったことの後始末ができないことなどです。

 次に、時代を担う青少年に豊かな人間性を培うために、身近な生活の中で意図的に体験させたり、次のステップのチャンスを与えたいものがあります。

 また、人間としての率直な喜びや悲しみ・美しいものや素晴らしいものへの驚きや感動など情操の陶冶にかかわるものがあります。

 個人的な世界に入りますが、学校生活や家庭生活では時として育みきれない個性的な好奇心や探求心などの啓発・育成にかかわるものがあります。

 更には、今日的課題であります自らの地域を明るくしたり、大切にしようとする、思いやりの心や協力連携・ボランティア精神にかかわるものがあります。

 この様に育みたいものには、多くの想いや願いが含まれていますが、私なりに一言でくくりますと「社会性に裏打ちされた自信と誇りをもてる子」に育てたい ことであります。

 「地域の子は地域で育てる」という文言は大変スマートで、万人の共感する想いが込められておりますが、いまだ今日、組織的・体系的な対応の切り口、手が かりを模索している状況であると思います。

 では、このような想いや課題を地域の子たちに、どのような営みや取り組みを通して育てることができるのでしょうか、私が実際に行ってきた取り組みをもと に改めて暖めてみたく思います。