第23号 子どもと学校の周辺で (その5) 「卒業・親として」

娘の中学卒業の日、知人が「これで下の子が中学を卒業してしまう。親同士集まる機会が無くなってしまうのが寂しい」と言った。

 それは、親同士の関わり合いの真っ只中で目の回りそうな私には、その時はとても意外な言葉だった。

 それから少しして息子が小学校卒業の日を迎えた。

 これで私も『小学生の母』を卒業する。

 「みんな一緒に中学校へ行くんだもの、寂しくないよね。」と話しながら、ふと先日の知人の言葉を思い出した。

 支えであったり、人生の肥やしだと思ったり、学校を通してさまざまな人と出会って来た。

 思い出したらなんだか寂しさが漂い出て来た。

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 保育園の頃は家庭での会話や夕食の献立、お布団の柄まで先生に筒抜けで、園との間はとても近かった。

 市外から嫁いで毎日をひたすら家と職場との往復で送っていた私は、「○○ちゃんのお母さん」という呼称を持ってようやく地域社会での自分の位置を見つけら れたように思う。

 二人の子どもが通算9年間通った小学校は、先生も子ども達も親同士も、見知った顔がいつもあった。

 いつでも声をかけることができて、にぎやかで、時には煩わしくもあったけれど暖かかった。

 中学校では、幼い頃から見知っていたはずの子どもたちが急激に表情を変えた。

 人懐こい顔が僅かの間に冷たくよそよそしく変わって行く。

 参観日に行っても他の親に会うことは稀で、授業中の教室を後からこっそり覗く。

 先生と親との接し方も当然ながら小学校とは違う。

 そんな中、保育園・小学校からの知人は大切な拠り所だったのだと今になって思う。

 小学校から中学卒業まで九年、長い人は十二年以上も一緒に過ごしたことになる。

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 親としての人間関係は子どもの成長とともに少しずつ変わる。

 変わるのは仕方のない事だけれど、これまでに得た人との繋がりは失いたくないものだと思った。